| | ●SAAGARさん >小津の家族
うちは産経新聞をとっていないので図書館で読もうと思っていたのですけれども、先週末は土日とも用事があって行けず、今日は行けたので5月分の産経新聞の全5回分を読んできました。 おっしゃるように笠智衆はおなじみのエピソードという感じでしたが、坂本武や斎藤達雄、そして飯田蝶子を取り上げているのが目新しいですね。小津生誕百年でネタは出尽くしていると思っていましたが、面白い切り口の連載だったと思います。 SAAGARさんもお持ちの『日本映画俳優全史 男優編』では坂本武の晩年はずいぶんと寂しかったような印象ですが、産経の連載によると周囲の人に愛されながらの大往生だったようで、なんだか安心しました。 『映画俳優全史』の著者の一人である田山力哉という人は映画人の伝記を書くと晩年の悲惨を強調する癖があるようで、片岡千恵蔵の没後に発表した伝記で千恵蔵のファンから強い抗議を受けたことがあるそうですが……。スターの栄光の後の転落、というのは分かりやすい構図ではありますが、ちょっと類型化しすぎですね。『市川雷蔵 かげろうの死』という本に併載されている「闇に堕ちた監督 小説・中平康」という作品も読み物としてはそこそこ面白いのですが、信憑性はどうなんでしょう(“小説”と断ってはいますが)。 あと、日経新聞の5月分の『私の履歴書』が新藤兼人だったので、ざっと読みました。新藤兼人の文章には癖があるのですが、『私の履歴書』は聞き書きなのか淡々とした感じで割と読みやすかったです。溝口健二がらみのエピソードは何度も読んだことがあるのですが、新藤の半生についてはあまり知らなかったので、まずまず興味深かったです。 彼が映画界を志したきっかけの一つが山中貞雄監督の『盤嶽の一生』だったというのを初めて知りました。溝口健二に関係の深いもう一人の人物である依田義賢も、山中貞雄の『街の入墨者』を観て感動のあまり心悸高進を起こして倒れかけたことがあったということは『溝口健二の人と芸術』で読んだことがあるのですが。 正直、山中貞雄は現存作が3本のみなので私の中で評価を定めかねていたところもあるのですけれども、新藤兼人も影響を受けたということで山中監督の天才性を改めて思い知らされました。新たな作品の発見を祈りたいです。
産経新聞の記事は意外な――と言っては失礼ですが――収穫でした。これからも面白い記事があったら御紹介お願いいたします。 |